2009年02月24日
マルタのやさしい刺繍

「マルタのやさいい刺繍」 監督:ベティナ・オルベリ
出演:シュテファニー・グラーザー(中左88歳!) アンネマリー・デューリンガー(中右)ハイジ=マリア・グレスナー(左端) モニカ・グブザー(右端78歳)
89分 2006年 スイス
元気者のおばあちゃま達のロマンチックコメディ?と想像しつつ映画館に向かい、
確かにそうだったんですけど、「さすが!」。
さすがスイス。
アルプスの山間の村は、今も、ハイジの世界から遠くなく、
カリジェの描く絵本さながらでした。
エメンタール地方・・チーズフォンデュで有名なチーズの産地が舞台です。
スイスの‘村’がいかに美しいかいかに特別か、
昔(20年も前)英語の先生(英人・女性)が目を輝かせ説いてくれた時には、
ふーん、そうかあ位に思いながら頷いてましたが、
彼女があれほど力説した訳がこの映画を観て得心いきました。
今もカリジェの世界がある・・

その小さな村を舞台に4人の老女性の友情が眩しいです。
さすがヨーロッパ俳優!
主演女優4人はいずれも60代70代のバリバリ現役軍ですが、
役柄と実際の人生の厚みが相まって、女性だったら憧れずにいられません。
当たり年の年代物フルボディの赤ワイン


↑この写真なんて私もこの中に飛び込みたくなっちゃいます。
こんな素敵な老後を築きたいね。
友達って、やっぱりいい。
ストーリーは、夫の死後がっくり力が出ない80歳のマルタが、
若い頃の夢だった、手づくりの刺繍を施したランジェリーショップを持つことを決心。
保守的な村では苦難の連続なんだけど・・・
さすがスイス。
保守的な村であっても、異論を唱える土壌がある。
少なくとも違う意見や考えを持つことで
抗議や非難を受けても、排除されることはない。
「おまえの母親はなんということをしでかしたんだ」とは言っても
「おまえが責任を取れ」なんて誰も言わないし、
「あんたの息子にゃもううんざりだ」と面と向かって言うにしても
「あんたの育て方が悪い」なんて言ったりしない。
(実際にこういう台詞があるわけではありません。例えばの話です)
親子でも夫婦でも友達でも
意思はそれぞれの個人にあり、
最終的には自身の心の内に向き合うことが大切で、
異論を唱え、違いを認め、歩み寄ることができる社会。
ラストのマルタの幸福そうな微笑が
その素晴らしさを物語っていると感じました。
カリジェ挿絵の絵本「ウルスリのすず」
http://maryan.ti-da.net/e2549197.html
Posted by まあやん at 09:12│Comments(0)
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